所属/学位
塩見 大輔 (Daisuke SHIOMI)
所属: 山形大学理学部 (数理科学分野/数学コース)
学位: 博士(数理学) 名古屋大学
連絡先
メールアドレス : shiomi.yamadai@gmail.com
宛先: 〒 990-8560 山形県山形市小白川町 1-4 -12 山形大学理学部 塩見研究室
研究室 : 理学部先端棟7階 702号室
経歴
学歴:
2005年3月 立命館大学理工学部 卒業
2007年3月 名古屋大学 多元数理科学研究科 修士課程修了
2009年9月 名古屋大学 多元数理科学研究科 博士課程修了
職歴:
2009年3月-2011年3月: 学術振興会 特別研究員
2011年4月-2012年3月: 名古屋大学 多元数理科学研究科 特任助教
2012年4月-2013年3月: 東京理科大学 理工学部 ポストドクトラル研究員
2013年4月-現在: 山形大学 学術研究院(理学部主担当) 准教授
研究内容
専門分野:
代数的整数論
研究概要:
有限体上の多項式や関数体の代数構造について研究しています。
[1] 円分関数体のゼータ多項式の行列式表示
円分体には様々な類数公式が知られていますが、その一つにCarliz-OlsonによるMaillet行列式による表示があり、円分体の相対類数を成分が整数の行列式で明示的に表現することができます。この関数体版として、Rosenは円分関数体の相対類数に対して、Maillet行列式の類似を構成し、類数表示を与えました。私はRosenのアイデアを拡張させ、円分関数体のゼータ多項式にも行列式表示を構成しました(文献 [1], [2])。この結果は、葛巻-金光のデデキントゼータ関数の特殊値に対する表示の関数体版とみなすことができます。
[2] 円分関数体のヤコビ多様体の研究
円分関数体のヤコビ多様体のl-群(l:素数)の構造を考えます 。l≠p (p:標数)の場合、l-ランクの大きさは種数の2倍に一致することが知られており、従って木田-村林の種数公式から決定ができます。しかし、一方のp-ランクは円分関数体ごとに複雑な振る舞いをし、よく分かっていません。私はp-ランクが正標数値ゼータの一つであるCarlitzゼータの特殊値で記述できることを示しました(文献 [3], [4])。また応用として、p-ランクが0になる場合、またp-ランクが種数と一致する場合を決定しました。
[3] 有限体上のフィボナッチ多項式の研究
フィボナッチ数で素数になるものをフィボナッチ素数と言います。例えば、F_3=2, F_5=5, F_7=13などがあります。フィボナッチ素数が無限にあるかどうかは未だ解明されていません。一方、フィボナッチ多項式Fn(T)については、「n:素数⇔Fn(T)が有理数体上既約」がWeb-Parberryにより証明されており、よって有理数体上既約なフィボナッチ多項式は無限に存在します。私は和歌山大学の北山氏と共同でFn(T)が有限体上で既約になる条件を調べました。この応用として、GRHを仮定のもと、有限体上既約なフィボナッチ多項式が無限にあることを証明しました(文献 [5])。この内容については数学セミナーに解説記事を載せています(文献 [6])。
文献リスト
[1] Daisuke Shiomi, A determinant formula for congruence zeta functions of maximal real cyclotomic function fields, Acta Arith. 138 (2009), no. 3, 259–268.
[2] Daisuke Shiomi, A determinant formula for relative congruence zeta functions for cyclo- tomic function fields, J. Aust. Math. Soc. 89 (2010), 133–144.
[3] Daisuke Shiomi, The Hasse-Witt invariant of cyclotomic function fields, Acta Arith. 150 (2011), 227-240.
[4] Daisuke Shiomi, Ordinary cyclotomic function fields, J. Number Theory 133 (2013), 523- 533.
[5] Hidetaka Kitayama, Shiomi, On the irreducibility of Fibonacci and Lucas polyno- mials over finite fields, Finite Fields Appl. 48 (2017), 420-429.
[6] フィボナッチ多項式の既約性, 数学セミナー, 2018 年 8 月号.